2024.2.27 東京都世田谷区三軒茶屋
三軒茶屋は渋谷から田園都市線で約5分という好立地にあり、国道246号線や世田谷通り沿いには中高層マンションや飲食店などの雑居ビルなどが多く、「エコー仲見世商店街」など昭和レトロな商店街が残る一方で、再開発で誕生した「キャロットタワー」などもあり、歴史と伝統を生かしつつ新しい時代に合った街に変化を遂げている。計画敷地周辺は大通りを一本外れたとアパートや一戸建ての住宅が並んでいるエリアで、古くからある住宅も多く見受けられ、国道や大通りの喧騒が嘘のような静かな住宅街である。住宅街に建つ集合住宅として、「敷地分割」「ボリュームの分散」をキーエレメントとし、法規上必要となる空地や隣地間の隙間、3面接道を最大限活かした開口部や視線の抜けをデザインする事で、 様々な場所が建物の内外に渡り関係を持ち、街と繋がった豊かな住空間を目指した。
建築が不動産として事業化される際、床面積の確保を優先した場合、一体の建築とすることで面積は確保しやすいが、周囲の住宅とのスケールの差が大きくなり、どうしても周囲から突出した存在になってしまう。敷地を分割することは、周辺環境に対する影響だけでなく、事業の流動性を考えても有効な手段である一方で、いたずらに分割を増やすとミニ開発を誘発することに繋がり、かえって環境の悪化を招いてしまう。事業性と環境のバランスを保つことが重要となり、敷地分割の方法と建築の配置計画が、住戸のプランだけでなく、街全体に影響を及ぼす。本計画では敷地分割の段階から設計者が関わることで、住戸数や面積構成から計画に反映することができた。
室内はメゾネットタイプとフラットタイプが混在する構成になっている。2棟の配置計画によってできた外部や周囲に開かれた空地に対して開口部を設けることで、室内で視界が完結せずに外部との関係を積極的に結びつけている。集合住宅の一室でありながら、階段や室内の移動に伴い外の風景が変化し、街と直接繋がる風景を獲得する。室内の壁面には開口からの光を柔らかく受けるよう一部色をつかい、単調になりがちな室内に場としての変化と、明るさを意識するきっかけをもたらしている。
用途としては賃貸住宅であるが、仕様や数値指標ではなく、住戸ごとに空間や経験としての付加価値を与えることが、居住者の快適性だけでなく、建築が街と共存し続けるための条件なのではないかと考えている。 この記事にコメントする
建築が不動産として事業化される際、床面積の確保を優先した場合、一体の建築とすることで面積は確保しやすいが、周囲の住宅とのスケールの差が大きくなり、どうしても周囲から突出した存在になってしまう。敷地を分割することは、周辺環境に対する影響だけでなく、事業の流動性を考えても有効な手段である一方で、いたずらに分割を増やすとミニ開発を誘発することに繋がり、かえって環境の悪化を招いてしまう。事業性と環境のバランスを保つことが重要となり、敷地分割の方法と建築の配置計画が、住戸のプランだけでなく、街全体に影響を及ぼす。本計画では敷地分割の段階から設計者が関わることで、住戸数や面積構成から計画に反映することができた。
室内はメゾネットタイプとフラットタイプが混在する構成になっている。2棟の配置計画によってできた外部や周囲に開かれた空地に対して開口部を設けることで、室内で視界が完結せずに外部との関係を積極的に結びつけている。集合住宅の一室でありながら、階段や室内の移動に伴い外の風景が変化し、街と直接繋がる風景を獲得する。室内の壁面には開口からの光を柔らかく受けるよう一部色をつかい、単調になりがちな室内に場としての変化と、明るさを意識するきっかけをもたらしている。
用途としては賃貸住宅であるが、仕様や数値指標ではなく、住戸ごとに空間や経験としての付加価値を与えることが、居住者の快適性だけでなく、建築が街と共存し続けるための条件なのではないかと考えている。 この記事にコメントする
設計・監理
川辺直哉建築設計事務所/川辺直哉・奥田晃大
構造設計
多田脩二構造設計事務所
用途
共同住宅12戸/長屋1戸
敷地面積
A棟-111.61㎡
B棟-145.33㎡
B棟-145.33㎡
建築面積
A棟- 68.84㎡
B棟- 86.09㎡
B棟- 86.09㎡
延床面積
A棟-371.92㎡
B棟-462.33㎡
B棟-462.33㎡
構造
RC造
規模
地下1階・地上5階
工期
2018.9〜2019.9
施工
新都市建設株式会社
プロデュース
株式会社アスコット
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